BUAISO 東京オフィス探訪 -企業の仕事場を訪ねる-

日本に根付く「新築至上主義」
- オフィスバンク森村社長(以下O)事業の内容を教えてください。
- リビタ内山社長(以下R)当社は東京電力とザイマックスの合弁会社で、寮や社宅、オフィスビル、中古マンションなどの既存建築物をリニューアル・再生するリノベーション事業と、そのノウハウを活かしたコンサルタント事業をメインにしています。
- リノベーション事業に着目したのはなぜでしょうか。
- 日本の新築住宅の値段は高く、年収の5〜7倍で販売価格と乖離しているので、多くの人は無理して住宅を購入しているのが現状です。その背景には「新築至上主義」的な発想があるのですが、発想を変えて中古物件に目を向ければ今はいいものがあって、マーケットも広がりつつあります。無理をせずに自分らしい住宅を取得できる選択肢になると考えました。
日本では高度経済成長の時代から次々と新しい住宅が作られました。そのような背景もあり、そろそろ新しい住宅を作り続ける必要はなくなるだろうとも感じていました。
中古物件ならではのメリット・デメリットがあると思います。それを正しく理解してもらい、デメリットを払拭する仕組みを作ることで消費者の消費行動に繋げる新しいマーケットを作らなくてはいけないなということでこの会社は設立されました。 - 環境問題への意識の高まりや昨今の不況はリノベーション事業にとっては追い風になっているように思います。
- そうですね、それは間違いないと思います。ただ、古いものは新しいものに比べて見劣りする場合が多いですし、価格の面でもやはりロープライスもしくは同じ金額でも価値が高くなければ勝てません。とはいえ、重要なのは「そこでどんな暮らしができるか」という住宅の本質です。限界まで新しい住宅を作り続けてきたこと、資源の問題などもありますが、建物の本質に目を向けると、自ずと今あるものを活用しながら合理的に自分らしい住まいを作るという発想に本来なるべきだと思います。
- 金額や築年数がすべてではないということですね。
- はい。そういう意味ではリノベーションという考え方は景気に左右されることなく、どの時代でも常に生き続けていかなくてはなりません。「衣食住」という言葉の通り、住宅はどの時代にも必要なものです。その本質を現代の新築至上主義の消費者に対してどのように伝えられるか。日本人が持つ住まいに対する価値観を変えていかなくてはならないので、少し時間はかかるとは思いますけどね。
オフィスとはプレゼンテーションの場
- リノベーションに対する考え方がオフィスにもよく表れていると思います。
- エントランスに設置している箱は以前のオフィスから引き続き使っています。オフィスを移転する時に再利用しやすいよう、あらかじめ持ち出しやすい仕組みにしています。コストはかけず、また、簡単に現状回復や再利用ができるように設計しています。
- 手間はかかっているけれども、材料と材料コストの削減を実施しています。
- そうですね。ちなみにいくつかの打ち合わせテーブルも新品ではなくて中古品を購入しました。価値のある家具というのは、中古になっても価値が衰えません。我々にとって必要でなくなればまた流通させることもできるので。事務用のテーブルに比べると値段は高いですが、結果的に合理的ではないかなと思います。
- なるほど。まさにリビタ流ですね。
- 企業の考え方をオフィスに表現するのは大事なことだと思います。オフィスにはお客様もいらっしゃるわけですから、企業にとっては会社の雰囲気を伝えるひとつのショールームのようなものだと捉えています。我々にとってはひとつのプレゼンテーションの場です。
- 特にこの業態ではオフィスを見て実力を測られますからね。
- 我々が考えるデザインは「カッコいい」とか、凝ったものではなく、自分らしい暮らしにこだわるための機能を満たすためのデザインです。このオフィスではそんなことが伝わればいいなと思います。新しいものだけが良いものではありません。「本質」に目を向けるきっかけになってもらえればと思います。
重要視したのはコミュニケーション
- 他にも社内にカフェテリアを設置するなど社員の方がコミュニケーションをとりやすい環境が作られています。
- 社員はランチの時などに使用していますが、やはり目線を変えて話をするというのは大事で、会議室で打ち合わせをすると出てこないような話題が、ソファのような低い位置で話をすることで出てきたりします。リラックスもできますし、コミュニケーションのきっかけになればと思って設置しました。
- このオフィスを作る時に気を付けたことは何ですか?
- 一番悩んだ点はどうすればオフィス内でのコミュニケーションを促進できるか、ということです。
個人のスペースを確保しすぎて物理的に社員間の距離をあけてしまうと、社員同士のコミュニケーションが発生しづらくなります。実は少し狭いくらいの方が良かったりするんですよね。
組織とはチームであり、企業で仕事をすることは、チームであることの意味をどれだけ見出せるかだと思います。そう考えると社員の中でコミュニケーションが活発になるのはすごく重要で。我々にとっても非常に大きな課題です。 - 最後にリビタの今後の展望を教えてください。
- このような不況で、新しいものをどんどん作るというより、今あるものをどのように生かすか、ということを考える雰囲気が広がってきました。今こそこれまで蓄積したノウハウが生かせる時で、マーケットが大きく広がるチャンスがやってきます。様々な取り組みを通じて、リノベーションの可能性を伝え、日本の住環境をより豊かに変えていきたいと思います。








